金融市場におけるトレンドとは…

 Python3ではじめるシステムトレード ──環境構築と売買戦略」で学んだ「トレンド」に関して整理します。詳細は本書をご確認ください。

トレンドとは

トレンドとは、株式、債券、不動産市場などにおいて、価格が一定期間継続して上昇または下落する動きのこと。トレンドには、確定的トレンド確率的トレンドがある。
確定的トレンドとは、経済成長と関係があるもの。確率的トレンドとは、経済・経済活動の状態を示す基礎的な要因とは全く無縁でランダムに発生するトレンドである。

トレンドの発生要因

市場にトレンドが発生する要因として、経済成長、景気循環、公共政策、自然・環境・エネルギー問題などがある。資本・貯蓄、技術革新、設備投資、個人消費などもトレンド発生要因となる。

技術革新の例としては企業が新商品開発の開発をしたことで株価が高騰する現象に該当します。

資本・貯蓄、個人消費がトレンドと関係あるということから、株価データだけでなく、マクロデータを取り入れる必要もありそうです。これらのデータをうまく活用し、確定的トレンドと確率的トレンドを分けていくことが重要かもしれないですね。

天候、環境、エネルギーなどもトレンド発生要因となるようです。近年の画像認識技術の発展から実際の運用現場でも衛星画像を分析して運用に活かしているという話も聞きます。有名な話だとウォールマートの駐車場画像があります。個人でこれらのデータ(オルタナティブデータ)を入手・活用できるかは調査が必要と思われます。

日本経済の各景気循環における分析

 景気循環期については、内閣府が公表しており、現時点までを16期に分類している(詳細はこちら)。今回は、以下の表に分類し、各循環期について簡単に分析してみました。日経平均株価のデータは、FREDのデータベースから取得しました。

循環期景気期間-始点終点
1, 2戦後復興期(recover)1949/5/161954/11/30
3, 4, 5, 6高度経済成長気(growth)1954/12/11971/12/31
7, 8, 8, 10安定期(stable)1972/1/11986/11/30
11バブル経済期(bubble)1986/12/11993/10/31
12, 13, 14, 15,16経済変革期(reform)1993/11/12019/11/30
独自設定新型コロナウィルス期(covid-19)2019/12/1現在(2020/11/25)

年間変化率・ボラティリティ

まずは、全期間のグラフと各循環期における年間変化率・ボラティリティを算出してみます。

import pandas_datareader.data as pdr
import pandas as pd
import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt
N225 = pdr.DataReader('NIKKEI225', 'fred', '1949/5/15').dropna() # 日経平均株価取得
states = ['recover', 'growth', 'stable', 'bubble', 'reform', 'covid-19']
dates = ['1949/5/16', '1954/12/1', '1972/1/1', '1986/12/1', '1993/11/1', '2019/12/1', '2020/11/25']

# グラフを表示
fig = plt.figure()
ax = fig.add_subplot(1, 1, 1)
colors = ["m", "b", "c", "g", "r", "k"]
for i in range(len(dates)-1):
    ax.plot(N225[dates[i]:dates[i+1]], color=colors[i])
    ax.annotate(states[i], xy=(pd.to_datetime(dates[i]), 6000*i), color=colors[i])
# 各期間の変化率とボラティリティを計算
results = []
for i in range(len(dates)-1):
    r = N225[dates[i]:dates[i+1]].pct_change().mean()[0] * 250 # 年率変換
    vol = np.log(N225[dates[i]:dates[i+1]]).diff().std()[0] * np.sqrt(250)
    results.append((r, vol))
df = pd.DataFrame(results, index=states, columns=['Return(%)', 'Vol(%)']) * 100
pd.options.display.precision = 2 # 小数点以下2桁
df

新型コロナウイルス期以外について、戦後復興期、高度経済成長期、安定期のリターンは13~14%と大差はないです。一方、バブル崩壊を含むバブル経済期やリーマンショックを含む経済変革期においては、リターンは2~3%とかなり低く、ボラティリティがかなり高いことがわかります。新型コロナウイルス期においては、かつてないリターンとボラティリティを記録しています

日経平均株価は、直近で26000円台まで上昇しております。
新型コロナウイルスのワクチン開発が進み、景気回復期待から日本株の買いが増えているように思われます。ボラティリティに関しては、かつてない上昇率と新型コロナウイルスの拡大に伴う大幅な反落とのギャップから高い結果となっております

最後に上記で話したトレンドという観点に結び付けて考えてみます。
新型コロナウイルスの拡大に伴い、全世界ではロックダウン措置が取られました。結果、飲食店や各店舗での営業中止や企業の営業活動縮小に伴い、個人消費は減少し、景気は縮小しました。
一方、新技術開発(ワクチン開発)の発表に伴い、景気は反発し、最近は回復傾向にあります。新型コロナウイルスにより、何かしらのトレンド(上昇・下落)は発生していた可能性は高いです。

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